「新 たのしく
書く道具」の
てまえ

前編vol.24

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2021年の秋、
カキモリの「新 たのしく書く道具」が生まれました。

書く人とともに豊かな時間を積み重ね、
いつしか素敵な「古道具」となっていくような、
飽きのこないプロダクト。

自分たちが心から使いたいと思う道具になりました。

今回は「新 たのしく書く道具」の生みの親3人で、
カキモリのベーシックが生まれるまでの物語を語り合います。



お話を聞いた人

広瀬 琢磨:
カキモリの代表。
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小泉誠:
Koizumi Studio代表、家具デザイナー、「新たのしく書く道具」のインク瓶やペン軸等をデザイン。
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関 宙明:
ミスター・ユニバース代表、アートディレクター。「カキモリ」という名前やロゴの生みの親。
Sekisan

「これからのカキモリ」が挑むプロダクトづくり

広瀬:
今日は、「新 たのしく書く道具」をつくる手前の話からまさにつくっているところ、
そして、つくった先の話をしたいと思っています。

関さんとは、2018年頃から「これからのカキモリ」について相談していました。
ここで一度立ち止まって、「本当にやりたかったことはなんだろう」と問い直すことにしたんです。
hirosesan
関さん:広瀬さんとの対話で、「たのしく、書く人。」というコンセプトはこの先も変わらないと確認できました。
そして、改めて大事にしたいものとして、「愛着」というキーワードをご提案しました。
お客さまだけでなく、スタッフさん、関わる人全員がカキモリのプロダクトやサービスに愛着や愛情を感じることが大事だと。
Sekisan
広瀬:
そこまで話したもののお店も忙しく、キーワードを形にはできませんでした。
もう一度、大事にしたいことを考え直そうと決めたのは、やはりコロナ禍がきっかけ。
店頭での体験が提供できなくなった2020年3月頃につくったのが、カキモリの6か条でした。

カキモリの6か条
1 繋がり
2 定番
3 ロングライフ
4 AWGS
 (Air Water Green Soil)
  自然との共生
5 感性
6 直感

6か条をすべて反映させ、自分たちが納得できるプロダクトをつくりたい。そう思った時に、初めてプロダクトデザイナーの力を借りて、何万個という大ロットのものづくりにもチャレンジしたいと思ったんです。
hirosesan
関さん:
カキモリのコアなファンにとって、カキモリが「大ロットのものづくりをする」と聞いたら、裏切られたと思われるかもしれない。でも、私も作り手のひとりとして、「つくり続けることの大切さ」を感じてきたので、広瀬さんのチャレンジに共感しました。
Sekisan
広瀬:
プロダクトのターゲットを「お客様」から「わたしたち」に切り替えたのも大きな変化でした。関さんからは「広瀬さんとスタッフさんが『たのしく、書く人。』にならないと」っていつも言われてきたのに、商売をしているとどうしてもマーケットが気になってしまう。もう一度、自分たちがほしいものを思い描き、つくってみたい。と思いました。
hirosesan

「新 たのしく書く道具」を支える、小泉 誠さんとの出会い



広瀬:
小泉さんとオンラインでお話ししたのは、2020年9月。「大御所すぎないか」とざわつくスタッフもいる中で、一緒にものづくりに取り組みたいという想いを伝えました。
hirosesan
小泉さん:
初めて顔を合わせる前は、不安でしたね。一緒にやるからには長く付き合いたいし、うわべだけのコラボレーションはしたくない。ただ、カキモリの6か条……この場ですぐ言えないけど(笑)、とても共感したし、広瀬さんは悪い人じゃないってわかりました。

あと、連絡をもらえたのが、僕が60歳になり、ギアを変えようとしていたタイミングだったんです。カキモリと一緒に動くことで、自分がものづくりの世界で打ってきた点をつないでいけそうだと感じました。
Koizumisan
広瀬:
「悪人じゃない」までたどり着いた初回を経て(笑)、小泉さんと、カキモリの店舗と周囲のお店や工場をめぐりました。
hirosesan
関さん:
蔵前に来て、小泉さんの不安は小さくなりました?
Sekisan
小泉さん:
カキモリなら、だまされてもいいや。と思えたんですよね(笑)。蔵前の町の人と広瀬さんがいい関係を築いていることも感じたし、関さんが丁寧にディレクションされたカキモリのお店と「カキモリの6か条」とのつながりが感じられて、ホッとしたんです。ものに対する愛や心意気を感じて、カキモリとの距離が近付いていきました。
Koizumisan


まず取り掛かったのはインク瓶のリニューアル。
中編に続きます。




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