藍の本場、徳島。
藍染めなら小学校のころにやったことがある。
楽しかったのは覚えている。
でも、藍染のワークショップのために徳島の空港から車で1時間かかる工房に訪れる人がいるという。
しかも半数以上は外国から。
BUAISOUは2015年に立ち上がった小さな藍染工房。
天然藍に魅せられた2人の若者が、原料の栽培から、染色、デザイン、製作まで一貫して行うことで深く美しい発色と高い堅牢度のある藍染めを実現させました。
その取り組みは国内だけに留まらず、海外からも注目を浴びるようになり、国内外の有名ブランドやセレクトショップとコラボレーションが生まれています。
ただ、彼らは素直に青が、藍が好きで、それを突き詰めていたら共感する人達が増えてきたのであって、自分達から売り込んで来た訳でもない。
もちろん、自分達の意にそぐわない染め依頼などは断ってきたのだと思う。
今回、ブルーボトルコーヒーとコラボーレートする機会があり、カキモリでも何が出来るか、何が良いか考えました。
ブルーボトルコーヒーの過去の取り組みをみていったところ、そこに出てきた中で一番目を引いたのはBUAISOUが藍染めしたトートバック。
ほんの少しの傷により、販売できずに眠ってしまっているバッグに着目し、その「再生」をテーマにコラボレートが実現。BUAISOUの手仕事により、ただ美しいだけでなく、バッグの持つ欠点も包み込まれた深い魅力に仕上がった。
カキモリの商品企画スタッフが、「BUAISOUとのコラボをやりたい」とわがままを言い始めたところからこのノートが生まれました。
もう8月だから3ヶ月しかない。
いまから3社で調整してて間に合うのか。
そもそもブルーボトルコーヒーが話にのってくれるか。
色々と頭をよぎりましたが、ブルーボトルコーヒーがプロダクトにかけるこだわりを知り、BUAISOUの事を知れば知るほど、「これしかない」と思い始めました。
そこから3ヶ月。
まもなく皆さまにお届けできるようになります。
BLUE BOTTLE COFFEE
BUAISOU
カキモリ
3者が意気投合したことで、
プロダクトが短期間で出来上がりました。
それも全くの妥協をせず。
この開発期間に、私達はBUAISOUを訪問し、直接お話を聞いたり、畑をみたり、藍染めの体験をしてきました。
やはり現場にいくことは、電話やメールやWebだけでも全く経験ができないレベルの体験となり、その商品への知識はもちろん愛着が一気に湧きます。
原料となる藍から育て、蒅と木灰汁(あく)、ふすま、貝灰のみで発酵させた藍液を使って染める藍は、深く奥行のある青となり、さらに堅牢度も高くなります。
藍染めというと、「色落ちする」「退色する」というイメージが強いですが、それは化学染料だったり発酵するための溶液の影響、そして染めて洗う工程の影響が大きいとのこと。
こだわり抜いて作った藍液で染めた後に、BUAISOUでは通常は3回以上洗って乾かすという工程を踏む。
それにより色落ちや退色しづらいプロダクトが生まれます。
ブルーボトルコーヒーの希望に沿って生地が質感のあるリネンデニム。
染めは、ベタ染めと浸し染めの2種類を選びました。
その希望に沿って染められた藍染めリネンデニムは、やはり美しかったです。
リネンデニムを渡された私たちは、ものづくりが息づく下町でノートに仕立てて行きました。
ここでもブルーボトルコーヒーのこだわりが発揮され、
ノートに仕立てていく工程を実際に見学し、その様子をゲストに伝えたいということでカキモリが依頼している蔵前周辺の町工場に一緒に訪問しました。
リネンデニムを表紙にするために
「貼り加工」をしている岡田製本。
中紙の色を調整するために立ち会った亀田印刷。
トレーシングペーパーの封筒を作るための「抜き加工」をする牛木紙工所。
ブルーボトルコーヒー、BUAISOU、Kakimoriのロゴを箔押しする田中箔押所。
私たちにとっては日常のものづくりですが、ブルーボトルコーヒーのお二人にとっては新鮮で、東京の下町でなぜものづくりが残っているのか感じていただけたようでした。
たくさんの人の「思い」が詰め込まれた1冊のノート。
中紙を入れ替えながら
末長く使い続けてもらえたら嬉しいです。