百年先の誰かもきっと、「インクびん」の愛おしさにほほえむ 第二回

Vol.23

これまで、紙製品をメインに
町工場とのモノづくりに取り組んできたカキモリ。

今回のインクボトルづくりは、
かつてない数を製造することもあり、
大きなチャレンジでした。

大規模な製壜メーカーは、
日本国内に数えるほどしかありません。

カキモリの新たなチャレンジを支えてくれたのは、
兵庫県西宮市の山村製壜所です。

山村製壜所は、大正3年創業の『日本山村硝子』の
100%子会社として1983年に設立。

従業員数70名の町工場です。

阪神間は、古くから日本酒に関わる企業が
集まっている場所。

山村製壜所でも酒びんをメインに、
化粧品用など様々なびんをつくっています。

なんと、カキモリの旧型のボトル(一般流通品)も、
実は山村さんでつくられたものでした。

特殊な形状を得意とする山村製壜所だからこそ実現できた、
カキモリのインクボトル。

5万個のボトルが、1日間で一気につくられることに決まり、
家具デザイナーの小泉さんとともに、
製造現場を見学させていただきました。




24時間火が焚かれ、1,400から1,500度にもなる炉の温度。

次々と切断され、型に落ちていく熱々のガラス。

橙色に染められたカキモリの「大福」が、
ポトンとレーンに落ちては流れていく。

何百という「大福」たちがくるくると踊るように列をなし、
目の前に現れ続ける。

工場に充満する「物が生まれるエネルギー」を
全身で感じながら、
わたしたちはその場から動けなくなりました。











心から使いたい道具が
生まれる瞬間に立ち会っている。

言葉を交わさなくても、立ち尽くす
わたしたちの心が動いていることは明らかでした。


何よりうれしかったのは、山村製壜所の社員の方まで
出来上がりをよろこんでくださったこと。

「大福」を手にとる誇らしげな表情に、
わたしたちもまた、心を動かされたのです。

ぽたりと垂らしたガラスの液体が、
雫のまま自然と固まったようなカキモリのインクボトル。

20mmの口径は8°に傾けられ、
繊細なペン先も入れやすく工夫されています。

コンバーターでも直接吸い切れて、
万年筆も使いやすくなりました。

使うときもそうでないときも、
愛着を感じられるインクボトルです。





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